ご存じのように、システム工学の分野では、柔軟性の高いモジュラーシステムの需要が高まっています。特に大きな進展が見られるのが、システムコンポーネントの分散化です。このブログでは、分散化が電源に与える影響とその対策について説明します。
システム企画プロセスの迅速化やメンテナンスの簡略化、スムーズな拡張が期待できるため、昨今では IP54~IP67の保護等級に対応したコンポーネントが増え、多くの現場に直接設置されるようになっています。その結果、キャビネットの小型化、さらにはキャビネットフリーの構成も可能になりました。
機械工学と分散化システムという観点から見て、電源機器はどのような位置付けにあるのでしょうか。現在市場に出回っている電源製品は、主に 3 つの設置・運用法を実現しています。
集中型キャビネット
電源を分散化プロセスに含めず、集中型キャビネットに格納します。この設置法で現場に分散した周辺機器に給電するには、断面積の大きな長いケーブルが必要となります。長いケーブルを使用すると電力の損失が生じるため、容量が大きめの電源を導入しなければなりません。
分散型オンサイトキャビネット
電源を電子ヒューズやスイッチなどの基本的なコンポーネントと共に集中型キャビネットから取り出し、より小さな分散型 IP67 キャビネットに納めます。この小型キャビネットはマシンに直接設置でき、多くの企業はこうした分散化計画や組み立てを独自に行っています。
顧客固有ソリューション
お客様一人ひとりのニーズに合わせた給電ソリューションを開発。電気仕様はもちろん、サイズや機構もシステムに合わせて設計します。
分散型電源のメリット
多くのユーザーは、分散型電源のメリットを認めると、採用に向け素早く行動に移します。そうすることで、システム企画の段階からさらに自由な設計が可能になります。ベルトコンベヤや生産ラインのように、分散化することでより高効率かつ柔軟に給電できる分野は少なくありません。必要以上に大容量の電源を設置する必要がなくなり、また、個々のシステムパーツをモジュール単位で組み合わせることができるため、従来より迅速かつ効果的な拡張・保守・移行が可能になります。
キャビネットの小型化、もしくはキャビネットフリーの構成によって空いたスペースを有効活用し、付加価値の高いシステムコンポーネントを拡張することも可能です。ケーブルの長さを短縮し、断面積を縮小できるため、銅線ケーブルのコストも削減できます。
電源の分散化を阻んでいた過去の障害
しかし、従来のソリューションを利用すれば、分散化電源の導入コストは依然として高いままです。例えば、シンプルな分散型オンサイトキャビネットでも、おおむね 10 以上のコンポーネントで構成されています。これをすべて、技術者が発注して保管し、最終的にはシステムに組み込む必要があります。
顧客固有のソリューションを開発すれば、さらに時間や費用がかかるため、大規模でなければ割に合いません。これまでは、在庫渡しで発注でき、設置が簡単で、3 つの方法すべてに取って代わるほど柔軟な分散型のスタンダード電源はありませんでした。
キャビネットフリー電源による解決策
プルスの開発者たちは、
の発売によって、分散化市場におけるこのようなギャップを埋め、キャビネットフリーのシステムや機器を企画するうえで新しい可能性をユーザーにもたらしています。同ファミリーのベースとなるのは、単相および三相で 300 W/500 W 出力の IP54~IP67 電源で、通信インターフェースとして IO-Link や出力 OK 信号にも対応しています。このプラットフォームをベースに、各種コネクタに対応した製品を展開しています。安全性と冗長性を向上する機能もオプションで提供しています。プルスの FIEPOS 製品ファミリーには、Basic と eFused という 2 つのシリーズがあります。
の電源は出力が 1 系統で、M12-L/-T/-A、7/8 インチ、HAN-Q シリーズをはじめとする各種プラグコネクタに対応しています。FIEPO の は、内部で保護された出力を最大 4 系統備えています。電流制御機能によって、最適な配電・保護を容易に実現できます。出力は、デバイスのフロントパネルに配したマンマシンインターフェースや IO-Link から設定・監視できます。